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  2. 対話を育てるアクションリサーチ : マイクロレクチャー

行動科学・行動主義・行動変容とは何か : その理論的背景・変遷・可能性・限界

https://jrckicn.repo.nii.ac.jp/records/669
https://jrckicn.repo.nii.ac.jp/records/669
ab8da753-d701-466e-98b2-4788c861be71
名前 / ファイル ライセンス アクション
WB14.mp4 動画 (136.5 MB)
license.icon
WB14行動科学・行動主義・行動変容とは何か.pdf テキスト (322.8 kB)
license.icon
Item type その他 / Others(1)
公開日 2019-10-01
タイトル
タイトル 行動科学・行動主義・行動変容とは何か : その理論的背景・変遷・可能性・限界
タイトルのヨミ
その他のタイトル コウドウ カガク コウドウ シュギ コウドウ ヘンヨウ トワ ナニカ : ソノ リロンテキ ハイケイ ヘンセン カノウセイ ゲンカイ
言語
言語 jpn
キーワード
主題Scheme Other
主題 行動科学
キーワード
主題Scheme Other
主題 行動変容
キーワード
主題Scheme Other
主題 限界
キーワード
言語 en
主題Scheme Other
主題 behavioural science
キーワード
言語 en
主題Scheme Other
主題 behavior modification
キーワード
言語 en
主題Scheme Other
主題 limit
資源タイプ
資源タイプ other
著者 守山, 正樹

× 守山, 正樹

en MORIYAMA, Masaki

ja 守山, 正樹

ja-Kana モリヤマ, マサキ


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内容記述
内容記述タイプ Other
内容記述 今日のマイクロレクチャー(オンライン講座)では、行動主義/行動科学(また関連する動機付け、行動変容などの考え方)について、理論的変遷・背景・今後の可能性を、お話しします。

行動主義Behaviorismは私たちの社会を支えてきた主要な考え方の一つです。特に日本では「この考え方が失われたら、日本の社会が混乱する」と心配されるくらい、まだ主流です。欧米の主要国でも1980年代までは行動主義が主流でしたが、その後、退潮しつつあります。私たちは行動主義/行動科学をどう捉え、今後どこに向かうべきか、考えます。

私が行動科学という言葉を知ったのは、大学の教養課程に入学してからです。当時は大学紛争のただ中、大学の建物は学生に封鎖されていて入れません。仕方なく街の本屋で本を探していて、この言葉を題名に見つけ、読んで関心を持ち、憧れました。この言葉が格好よく響いたからです。

医学部を卒業後、私が公衆衛生学の大学院に進んだ最大の理由は、行動科学を学べると考えたからです。恩師の鈴木継美先生は、構成主義を始め多くの知的な刺激を私にくださいましたが、行動科学についてはなぜか先生のお考えを聞いていない気がします。先生は行動科学が嫌いではなく、仙台を離れて東京に戻られた後、しばらくの間は「何匹ものマウスを密閉された空間で自由に飼い、マウスがどのように行動し、個体数はどう変化するか」などの行動科学的な研究を、人類生態学の立場から楽しんでおられるようでした。一方、人間への行動科学の応用については、慎重だったと思います。

行動科学は心理学のアプローチの一つ「ヒトの行動を研究する際に、ヒトの内部(心、精神)の存在を取り上げる必要はなく、外部から観察可能な行動に注目すればよい」という考え方です。それまで内観など「対象者自身が自分の心を振り返る方法」で意識を研究して来た心理学の在り方が「主観的過ぎる」と批判され、実験的・実証的な心理学のアプローチが20世紀初頭に生まれました。これが行動主義です。

出発点は旧ソ連の生理学者パブロフ。1902年、唾液が口の外に出るよう手術した犬で唾液腺を研究中、飼育係の足音で犬が唾液を分泌する事実を発見しました。このパブロフの条件反射研究がもとになって生まれたのが古典的条件づけの理論です。初期の行動主義者(古典的行動主義)である米国人ジョン・ワトソンは、パブロフの研究に影響され、行動の観察を心理学の研究方法とする立場を取りました。

同様の時期、20世紀初頭に米国で誕生した社会心理学は、行動主義の影響を受けています。健康教育の初期に用いられたKAPモデルでは、Knowledge、Attitude、Practiceがモデルを構成しますが、これらは何れも、心の内部ではなく、外部からの観察可能な行動に注目しました。「適切な行動には報酬を、不適切な行動には罰を」という行動主義の発想から、KAPモデルを適用した健康教育では、対象者を脅かしたり怖がらせたりして対象者の行動を変えることもよく行われました。

その後、行動主義はスキナーの登場により、飛躍的に発展します。スキナーが樹立した徹底的行動主義Radical behaviorismは心理学を始め、様々な科学の中に浸透しました。スキナーが凄いのは、「主観的に心を振り返ることを排除する方針」を維持する一方で「『意識・認知・内観』はアンタッチャブルのものではなく、本質的には行動と連続したもので、実験的・科学的に分析可能だ」としたことです。スキナーが開発したユニークな実験装置がスキナー箱(Operant conditioning chamber)です。スキナーはラットやハトをこの装置に入れて様々な実験を繰り返し、オペラント条件づけの理論を定式化しました。この結果、ヒトや動物での広範な自発行動が条件づけの対象となり、生活のあらゆる側面が行動科学の対象となって行きました。

こうした行動主義の輝かしい成果は、公衆衛生学や社会心理学にも影響を与え、原初的なKAPモデルから更に進化したHealth Belief Modelなどの誕生にも貢献しました。スキナーの徹底的行動主義は「行動科学」として1960年代後半から日本にも紹介され始めました。そうした時期、私は行動科学という言葉に接しました。

主に米国から発展した行動主義や社会心理学の背景には、20世紀初頭から米国で思想の中心となったプラグマティズムPragmatism「観念の意味は行為を抜きにしては考えられない、として真理の基礎を生の『有用性』に置く」の影響があります。

さて、20世紀の後半から21世紀にかけて、行動主義はさらに発展する一方で、退潮の兆しも明らかになって来ました。

発展の側面としては、行動主義によってヒトの認識や行動を予測したり、説明したり、誘導したりすることが、実証的に行えるようになったことが挙げられます。これは世界をより賢く健康な方向へと導きたい人々(政治家、役人、教員、保健医療関係者、社会福祉関係者etc)にとっては、とても魅力的で便利な考え方です。より賢くしたい場合は幼児から大学生に至るあらゆる教育の場で、より健康にしたい場合は健康教育から介護予防に至るあらゆる働きかけの場で、段階的に目標を設定し、人々が行動変容できるように支援する基本的な考え方になります。

スキナーは1960年代に「プログラム学習」と「ティーチングマシン」を開発し、プログラム学習の考え方は、授業・教材設計思想として有用、またティーチングマシンはコンピュータ科学と親和性が高く、どちらも社会に大きな影響を与えました。インターネットの時代になって世界中に普及したE-Learningもここから生まれています。

一方、退潮傾向が現れたのは、認知科学や脳科学の進歩にともない、行動主義の原点である「(行動は)心や精神の内部活動にタッチせずに研究できる」「(行動は)“行動と環境”との関連性の観察や、関連性の時間的変化の観察から、研究できる」とする考え方の不十分な点が明らかになってからです。行動主義の原則が揺らぎ始めて以来、人間の自由意思や内的な世界の可能性を重視する「能動的な人間観・学習観」が拡がり始めました。世界的には「行動主義が主流の時代」から「構成主義の発想も重視される時代」へと移行しつつあります。

一方、わが国では未だに行動主義が中心の時代が続いています。行動主義による詰め込み学習がいったんは批判され、ゆとり教育が一瞬もてはやされました。しかし構成主義の未熟な適用のため、ゆとり教育は直ぐ失敗し、行動主義に戻ってしまいました。保健医療福祉の分野でも、未だに「動機付け、行動変容」という行動主義の中心概念が盛んに用いられています。認知症予防の分野でも例えば「高齢者に暗算をさせる」ことが前頭葉の血流を増やすなどの知見からの、行動主義の対応も認められます。

行動主義は20世紀の中期、米国だけでなく世界中で支持された考え方です。現在でも、日本の教育、医療福祉介護などの領域では、活動の中心的な概念です。行動主義で知識を詰め込む教育を行えば一定程度は成績が上がります。認知行動療法では、うつ・PTSD・パニック障害など、多種多様な精神的疾患で、高い治療効果が報告されています。今の日本を維持する上で、行動主義は必須の考え方と言えるでしょう。

20世紀の後半から21世紀の現在に至るまで、私たちは日本の社会で、行動主義の教育を受け、行動主義の職業訓練を受けて、現代に至っています。行動主義が身に沁み込んでいるのです。大学紛争が収まったのも、行動主義の効果と言えるかもしれません。しかし行動主義も万能ではありません。限界も見え始めています。

先日、ヘルスプロモーションを学ぶ大学院生6名に、ヒトの心の状態をどのように表現するか、と問いかけたところ「ストレス、自己効力感、自尊心、コーチング、自意識、QOL、見当識、共感、不安、混乱、受容、認識、デジリエンス、ニーズ、SOC、コンプライアンス、不穏」のような言葉が出て来ました。よく考えてみると、ここに出て来た言葉の多くは、社会心理学者が概念化したもの、言葉の背景にあるのは行動主義です。ここまで言葉を出してみて、私たちは、行動主義がいかに私たちの物の見方、考え方の中に浸透しているかに、驚かされます。

私たちの心の状態を、行動主義や社会心理学が生み出した便利な言葉、専門的な概念に頼り過ぎず、時に、もっと率直に振り返り、見つめ、語ることは可能なのでしょうか。

まず私たちの意識中に埋め込まれてしまっている行動主義に気づくことから、次の一歩が始まります。
たまには多項目質問紙などを用いず、普通の平易な言葉を用いて、生活を構造化したら、思いがけない気づき、発見があるかもしれません。まずは生活マップなどから始めたらどうでしょうか。チャレンジしてみてください。

参考資料
・Behaviorism 

(守山正樹)
書誌情報 発行日 2016-08-17
権利
権利情報 ©2016 守山正樹
関連サイト
識別子タイプ URI
関連識別子 https://taiwa-act.blogspot.com/2014/02/wb14.html
関連名称 対話を育てるアクションリサーチ(守山正樹)
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 video/mp4
フォーマット
内容記述タイプ Other
内容記述 application/pdf
著者版フラグ
出版タイプ AM
見出し
大見出し 対話を育てるアクションリサーチ ; WB14
見出し
大見出し action research for narrative ; WB14
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Ver.1 2023-06-19 13:57:59.764562
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