@misc{oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000676, author = {MORIYAMA, Masaki and 守山, 正樹}, month = {Jan}, note = {video/mp4, application/pdf, 今回のマイクロレクチャー(オンライン講座)では、歯科衛生士の仕事と立場を見える化し、人間的なコミュニケーションの学習を考えます。 私たちは誰でも複数の社会的立場を持っています。歯科衛生士もまたそうです。歯科医院では歯科医療を支える専門家の立場、仕事を終えれば一市民としての立場、歯を痛めれば患者さんの立場にも立ちます。同じ1人の中に「専門家」「一市民」「患者」など複数の立場があります。各立場に立ち、何が大切か、ニーズは何か、求められているコミュニケーションは何かを考えてみましょう。用いる方法はイメージ展開法です。 まず、専門家、歯科衛生士としての立場。歯科衛生士は、歯科医院で、様々な専門的行為を行います。私が理解する歯科衛生士像に従い、可能性のある専門的な行為をここに書き並べてみました。あなたが歯科衛生士だとして、あなたにとって重要な行為(言葉、キーワード)はどれでしょうか。7つ選んでください。選んだら、言葉をXY座標にしたがって配列展開し、あなたの専門家としての立場を、イメージマップとして見える化します。 次は患者としての立場です。あなたは、時には歯を痛め、歯科医院を受診することもあるでしょう。そうなったとき、あなたはそこのスタッフに、どのように接し、どのように振舞ってもらいたいでしょうか。歯科医院で起こりそうな状況をここに書き出しました。あなたが歯科医院を受診したとき、実際に出会いそうな状況はどれでしょうか。7つ選んでください。選んだら先ほどと同様に言葉を配列展開し、あなたの患者としての立場を、イメージマップとして見える化します。 最後は、あなたの、普通に生活する市民としての立場の見える化です。ここに生活についての言葉が並んでいます。先ほどと同様に7つ選び、配列展開し、イメージマップへと見える化してください。  さて以上により、あなたの中にある3つの立場、専門家・患者・市民の立場が、見える化されました。このような複数の立場は、歯科衛生士の場合だけでなく、あらゆる職業人や専門家の場合にも、共通して観察されるものです。 見える化が一段落したら、次は対話(コミュニケーション)です。異なる立場が出会い、対話があると、健康についての学習が起こったり、自分や他者の捉え方が変化したり、新たな行動への気持ちが生まれたりします。グループワークができる環境にあるなら、周囲の人にもイメージマップを作成してもらい、何れかのイメージマップを介して、互いに交流してください。何か気づきがあればメモを取ります。メモをグループで模造紙に貼るなどして共有し、協働作業の中で発想を育てます。 さて、今日行って来たイメージマップによる見える化演習は、教科書的にはどう位置づけられるでしょうか。 歯科予防処置論や保健指導論の現行の教科書を見ると、たとえば、患者さんを主役にした行動変容への過程として、ニーズ把握、計画立案、計画実施、計画評価など細かく分かれています。このような捉え方の元にあるのは「行動主義 Behaviorism」の考え方です。行動主義では、学習者の役割は受動的なものに留まります。かってフレイレは、金庫に預金するように教師が生徒に知識を詰め込み、生徒は辛抱強く暗記するような教育を、銀行型教育と表現しました。現在でも、行動主義に基づき、知識を詰め込んだり、蓄積し整理することは、一見効率が高く、知識の体系化や専門化にも役立つため、教科書的な記述ではよく用いられます。その一方、「行動主義」に準拠して書かれた教科書では、書かれている知識がやや硬直化し、柔軟に学ぼうとする学習者との間で、距離が生じることもあります。 一方、今日の演習で用いたイメージマップでは、知識体系の提示よりも、複雑な毎日の生活の中から言葉や理解や人間関係が生まれ、発展する「構成主義」の捉え方を用いました。学習者が外界に能動的に働きかけ、自ら参加的・構築的に学ぶことを重視しています。 「構成主義」的な視点に立てば、「ニーズ」や「計画立案」や「評価」は、現実の混沌とした歯科診療の場面では、単独で存在するのではなく、互いに入り混じり、影響しあって存在と言った方がいいかもしれません。イメージマップでニーズを見える化すると、そのことが「もっと~したい」との計画立案的な考えを生み出したり、「本当は~の方が大切なんだ」など評価的な考えにつながったりします。 行動主義で書かれた教科書も、もちろんそれなりの価値と働きを持っています。丸暗記的に教科書を読むのではなく、十分にイメージマップでの演習を行った上で、最後に知識の整理として教科書を学ぶと、「ニーズ」や「計画立案」といった言葉が、前よりも活き活きと具体的に感じられるでしょう。 今日、方法論として用いたイメージマップは、コンセプトマップ、認知地図というジャンルに属します。国際的には、例えば、教育分野の研究者ノバックが開発したコンセプトマップがよく知られています。一方、今日皆さんにお話ししたイメージを配列展開するマップは、私が20数年前に、食生活について開発した方式が元になっています。関心のある方は、文献をお読みください。 (守山正樹)}, title = {歯科衛生士の立場と仕事の見える化と対話}, year = {2014}, yomi = {モリヤマ, マサキ} }