@misc{oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000673, author = {MORIYAMA, Masaki and 守山, 正樹}, month = {Mar}, note = {video/mp4, application/pdf, 「ユニバーサル都市・福岡」活動支援助成をいただいたWifyカフェワークショップを、マイクロレクチャー(オンライン講座)の形で報告します。感覚/五感を拓き、ユニバーサルデザインとは何かを触覚/触知からバリアフリーに考え、語り、交流する試みの紹介です。 「あなたにとって何が大切ですか?」は英語だとWhat is important for you? 単語の頭文字Wifyにカフェを組み合わせた言葉が「Wifyカフェ」です。Wifyカフェのルーツは、私の勤務先、福岡大学での学生実習「医学生がアイマスクをつけ、目が見えない状態で、福岡の街を歩き、障害や環境の意味を考える試み」を17年前から続けています。ここから生まれたWifyカフェでは、カフェ的な楽しい雰囲気の中、五感を使って生活を考え、対話し、交流します。 今回、市民を対象にしたWifyカフェ・ワークショップの実施は11月、その前3カ月は「ユニバーサルデザインとしての表現と交流の方法」の検討に費やしました。目指したのは、アイマスクをつけ目が見えない状態で、街歩きした体験を、視覚以外の感覚、特に触覚を用いて表現し、交流することです。既に開発していた触知生活マップの方法の街歩きへの応用を試みました。 例えば路面の様子を「路面」という言葉や画像では無く、手で触れて実感するには、どうしたらいいでしょうか。路面の様子は都市環境を語る上で大切です。また目が見えない状態で街路を歩くとき、靴底を通した路面の把握は、必須です。この「路面」を触覚的にイメージできるよう、こちらのピースを試作しました。人工芝の断片です。ピースを磁気で固定するため、磁石の台座をつけました。 次に検討したのはヒト、人間の触覚的な表現です。歩行者から居住者に至るまで、人は都市環境を構成する必須の要素です。人は街歩きでも重要です。目が見えなくても手引者がいれば安心して歩けます。一方、他の歩行者には注意が必要です。このヒトを表すピースはキューピー人形のミニアチュアを用いました。特徴的な形のため、触れると、人をイメージできます。では周囲の人々など、複数の人を触覚からイメージする場合はどうでしょうか。これは試作品。プラ板に形を描いて切り取り、加熱すると、縮小してこの形になります。このピースは、しかし、眼で見れば「なるほど」と分かるのですが、手で触れると、あまり分りやすくありません。このような試行錯誤の末、ここに示すようなピースを試作しました。 さてユニバーサルWifyカフェの第一回目は11月9日、福岡市六本松の福岡大学セミナーハウスで行いました。参加者は5名と少なめでしたが、視覚障害者教育の専門家、視覚障害をテーマしている卒論生など、感覚に関心の高い参加者の間で、交流が進みました。アイマスクは、光をさえぎる遮光性のものではなく、鼻と口にかける使い捨てマスクを転用しました。このマスクだと、周囲の光を感じながら、視覚障害体験ができると好評でした。 Wifyカフェ第二回目は11月17日、場所はやはり福岡大学セミナーハウスで行いました。この日、参加者は28名にのぼり、小学生、高校生、大学生から社会人まで、また海外からもトンガ人の教員2名が加わり、多様でした。 両日とも、午前中、前半のプログラムは、セミナーハウスの建物内の探索で、ペアになった二人が共にアイマスクをつけ、行動しました。二人とも目が見えない状態であっても、安全が保たれていれば、かなり自由に探索でき、感覚的な気づきが多いことが示されました。 午前中、後半のプログラムは初めての触知体験、アイマスクを付けていろいろなものに触れる中で、手の触覚が意外に高い認識力を持つことが理解されました。 昼、9日は普通の昼食でしたが、17日はアイマスクをつけてお弁当を食べる体験をしました。 午後、前半は街歩き体験。ペアの一人がアイマスクを体験し、もう一人が介助を行い、セミナーハウスから出て、護国神社まで行き、神社の境内を散策しました。 午後、後半は、護国神社からセミナーハウスに戻った後、触覚を介して、街歩きの体験を振り返り、自分が街歩きのときに大切だったもの・感覚を触覚的なマップに表現し、交流しました。 今回のワークショップから、ユニバーサルデザインについて、以下三つのことが分かりました。 1)ユニバーサルデザインの観点からは、通常よりもゆったりと深く探索的に考えることが大切です。今回は、福岡大学セミナーハウスを起点に「建物内の空間」と「建物外の街空間」を探索し、関連する都市空間を味わうことができました。 2)ユニバーサルデザインでは、多様な立場から、人間的に考えることが大切です。今回は、子どもから大人まで、学生から感覚や障害の専門家まで、また福岡市民からトンガの来訪者まで、多様な立場の参加者が、共に福岡市を体験し、交流の中で体験を共有し、発展させることができました。トンガの参加者からは、母国でこのプログラムを行いたいとの感想が聞かれました。 3)ユニバーサルデザインでは、五感を拓き、触覚的に考えることが大切です。今回は、アイマスクをつけた視覚障害体験から五感で街を捉えることができ、触知ピースによるマップ作成から触覚的に考える楽しさに目覚め、また最後にアイマスクを外して目で見ることから当たらためて視覚という感覚の意味を考えることができました。 今回の福岡市からの助成により、学生実習にルーツを持つWifyカフェは、福岡市民のどなたにでも参加していただけるユニバーサルなWifyカフェへと発展することができました。 今後、ユニバーサルな福岡市に、さらに貢献できることを楽しみにしています。 (訂正)映像中で「トンガからの参加者3名」と述べていますが、一人は通訳、トンガ人は2人です。また映像後半で、護国神社を靖国神社と言い間違いました。ご訂正ください。 (守山正樹)}, title = {ユニバーサルデザインUDとは何か : 感覚/五感を拓き、UDの意味を触覚/触知から考え語り交流する試み}, year = {2018}, yomi = {モリヤマ, マサキ} }