{"created":"2023-06-19T13:30:43.881396+00:00","id":670,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"1a6ee64b-e9b3-4584-9ea9-afb1f87323c5"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"670","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"670"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000670","sets":[]},"author_link":["1289"],"item_10010_alternative_title_1":{"attribute_name":"タイトルのヨミ","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"ケンコウ キョウイク トワ ナニカ : ソノ イミ ト イギ リロンテキ ハイケイ ヘンセン コウドウ カガク トノ 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healthとは「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、健康な社会を実現する科学的・技術的な考え方」で19世紀のヨーロッパで生まれました。 Ilona Kickbusch氏によれば、公衆衛生はこれまで3回、大きな変化、公衆衛生革命(public health revolution)を経験しています。\n\n健康教育は公衆衛生と共に発展して来ました。歴史的にみると、人類の生存上、最大の脅威は感染症です。19世紀後半の病原体発見まで、感染症の予防は困難でしたが病原体発見により、予防が可能になりました。これが第1次公衆衛生革命です。実際の予防では、人々に働きかける必要があります。20世紀前半、初期の行動主義やその影響下で生まれた社会心理学の分野から、初期の「働きかける考え方」、KAPモデルが生まれました。人々に「知識knowledgeを普及・教育し、態度attitudeを変え、習慣practice(または行動behavior)を変容させること」という考え方です。この考え方が健康教育の出発点です。\n\n20世紀中盤、社会が発展し、寿命が延びる中、日々のよくない生活習慣Lifestyleの積み重ねが、その後、慢性疾病を引き起こすことが、気づかれました(生活習慣の発見)。これを第2次公衆衛生革命といいます。既にKAPモデルが当てはまらない場合が増え、心や社会の複雑な状況を反映した新モデルが求められるようになっていました。ニーズに応える形で、多くの社会心理学者が公衆衛生分野に進出し、1960年代後半からより洗練されたモデルが生まれてきました。一例がHealth-Belief-Modelです。「予防的行動を起こす可能性」は「疾病の認識された罹患性・深刻さ・脅威」と「予防的行動の認識された利益・障壁」により確率的・段階的に説明され、「年齢・性・社会階層・助言・マスメディア」など修飾因子も考慮されました。\n\n20世紀も後半、より複雑で多様化・流動化した社会状況下で健康教育を行うニーズが高まり、二つの方向性が明確になりました。「社会計画的な考え方」と「Communication重視の考え方」です。\n\n「社会計画的な考え方」では総合的マネージメント的な接近がなされます。グリーン氏のPrecede-Proceedモデルではまず「人々や社会が目指す課題の診断」がなされ「疫学面・行動環境面の診断」「教育・生態的状況の診断」が続き「健康教育プログラム実施」の終了後は「実施の過程・効果・結果の段階的な評価」がなされて、完結します。PCM(Project Cycle Management)も似た方法です。\n\n「Communication重視の考え方」は多様化・複雑化した社会で、人々を行動変容へと動機付けるため、目線を水平に近づけ、人々との距離を置かず、段階的にアプローチすることが尊重されます。個人や集団指導・グループワークを組合せ、楽しいゲーム的な要素や、心身を動かしながら学ぶ参加的な要素が取り入れられました。1980年代から一般化して来たライフスキル教育、段階的アプローチを積み重ねる変化のステージモデルなど、多様です。2000年代以降、BCC(Behavior change communication)、ACSM(Advocacy, communication and social mobilization)は開発途上国でも適用が増えています。\n\nさて、KAPモデルから現在に至る健康教育の流れを説明しましたが、まだ説明していない強力な動きが1980年代に始まりました。ヘルスプロモーションです。生活が豊かになり、人々が自由や権利に目覚める中、上から目線でトップダウン的に公衆衛生活動を行うだけでなく、「水平な目線での働きかけ」を行う大切さが発見されました。これが第3次公衆衛生革命です。\n\nヘルスプロモーションが生まれる頃から、同時代的な影響を受ける形で、健康教育も変化し始め、社会計画やCommunication重視の方向が導入されました。一部では健康教育とヘルスプロモーションが融合し始め「健康教育はヘルスプロモーションの一部:両者は連続する」などの捉え方も拡がりました。\n\nここでわが国の状況を振り返ると、「健康教育」と「公衆衛生」の表記が異なることに気づかされます。「健康教育」は、他の教科教育と同様に「学校で先生が生徒に教えるもの」と理解される傾向もあります。しかし英語だとHealth EducationとPublic Health、大した差はありません。「健康教育」と「公衆衛生」が異なったものとして理解される状況は日本語表記と関連しています。\n\nでは、健康教育とヘルスプロモーションとは、どう異なるのでしょうか。私は【ヘルスプロモーション】は「第3次公衆衛生革命そのもの、参加的・水平的な考え方」「行動主義Behaviorismが目立たない考え方」だと、また【健康教育】は「行動主義Behaviorismや社会心理学の関与が明確な考え方」だと理解しています。\n\nさて通常のマイクロレクチャーは終わりです。ここからは、対話的に、ナラティブに、健康教育の本質を考えます。\n\n「まず20世紀前半に時間を戻します。行動主義が表れて間も無い時代、健康教育という考え方が生まれ始めたころの働きかけを振り返ります。私は専門家です。あなたの行動が変わるよう、あなたに働きかけます。心を振り返る主観的な働きかけではありません。私は、あなたから距離を置き、実証的・科学的に働きかけます。『さあ、あなたは、ずっと甘いものばかり食べ続けていますが、そんなことをしていると肥満がひどくなり、早死にするかもしれませんよ』 このように、健康教育の黎明期、KAPモデルの時代では、知識を与え、脅かし、行動を変えさせる事が一般的でした。\n\n その後、時代が進み、脅かし怖がらせるのではなく、将来の病気になる確率が高いことを示して説得するなど、より間接的・説得的でかつ確率的・段階的に、行動に働きかけることが一般化しました。行動主義も健康教育の考え方も、時代に合わせて進歩し、洗練されたのです。この時代の考え方はHealth-Belief-Modelに反映されています。\n\nさらに、健康教育が社会計画の中に組み込まれる動きも始まれました。その一例がPrecede-Proceedモデルです。\n\n1980年代になると、ヘルスプロモーションの考え方が現れ、健康教育も影響を受け始めました。\n\n21世紀の現在、私、Health Educator(健康教育者)もよりあなたに接近し、遊びや楽しい雰囲気を重視し参加を促すBCCやACSMなどの方法を用います。コミュニケーション重視のため、health educatorである私は、あなたにとり、より親しみやすい存在になったはずです。しかし私は一方で、冷静に、あなたの健康に対する態度や行動の評価・観察を続けています。立脚点は科学的な実証主義と行動主義です。目線を低く、笑顔で、いろいろお話させていただいたとしても、私は専門家です。専門家としての私の立場を出て、あなたの心の扉を叩いたり、あなたと同じ立場に立つことは、まずありません。\n\nさて以上の行動主義・行動科学の接近に対し、それとは異なる、構成主義からの接近があるのを、ご存知でしょうか。共に同じ時代を生き、対話を大切にし、共に感じ考え、問題を解決しようとするのが、構成主義の接近です。こうやってあなたと話をしている間に、私はあなたの肥満に対する考えがよくわかるようになりました。あなたも、私と話をしている中で何かに気づいたようですね。しばらくの間、楽しく興味深く話をし、一緒に考えている間に、あなたもわたしも少し価値観や物の見方が変わってきたような気がします。構成主義の接近を、あなたはどう思いますか。その理論的な成り立ちについては回を改めて説明します。\n\n筆者が開発したWifyや二次元イメージマップなどの手法については、以下のサイトをご覧ください。\nhttp://www.wifywimy.com/\n\n(守山正樹)","subitem_description_type":"Other"}]},"item_10010_heading_23":{"attribute_name":"見出し","attribute_value_mlt":[{"subitem_heading_banner_headline":"対話を育てるアクションリサーチ ; WB12","subitem_heading_language":"ja"},{"subitem_heading_banner_headline":"action research for narrative ; 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