{"created":"2023-06-19T13:30:42.743336+00:00","id":650,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"2f035e1e-87f0-4449-ad46-c3fe1e9f8d95"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"650","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"650"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000650","sets":["17:41"]},"author_link":["1289"],"item_3_alternative_title_1":{"attribute_name":"タイトルのヨミ","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"オモナ シッペイ ノ ヨボウ"}]},"item_3_creator_2":{"attribute_name":"作成者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorAffiliations":[{"affiliationNameIdentifiers":[{"affiliationNameIdentifier":""}],"affiliationNames":[{"affiliationName":""}]}],"creatorNames":[{"creatorName":"MORIYAMA, Masaki","creatorNameLang":"en"},{"creatorName":"守山, 正樹","creatorNameLang":"ja"},{"creatorName":"モリヤマ, 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①感染源は「感染の由来」病原巣は「そこで病原体が自然に増殖し生活している場合」②感染経路は「病原体が病原巣から出発し、新たな感受性宿主に侵入するまでの道筋」③宿主の感受性は「病原体が体内に侵入して感染が成立する条件、個体の抵抗力・遺伝子・年齢・性・栄養等に影響される免疫力」です。 \n\n2 結核を中心とする感染症の歴史\n\n 日本の感染症対策のモデルになった結核のことからお話します。人類は4000千年以上から結核に感染していました。結核菌の発見は19世紀末、コッホによります。日本では幕末まで結核は「死病・労咳」として、また明治維新以降も「亡国病」として恐れられ、文学や芸術にも影響を与えました。明治中期、全国的に製糸工場ができ、農村出の女工が雇われましたが、多くが結核を発病し帰郷後に死亡、周囲に結核が拡がるなど悲劇も起きました。細井和喜蔵による「女工哀史」17章には以下の記述があります。\n\n「工場在籍女工に就て見ると総死亡千人中386人即ち4割は結核又は其疑あるものである。又病気解雇帰郷者に就て見ると帰郷後死亡者千人中703人即ち7割は結核又は其疑ひあるものだ。彼等は我慢の出来る丈け我慢して働き、遂にダメだと知るに及んで帰郷する為に帰郷後の死亡率は7割の高かきに上る」\n\n 1935~50年の間、結核は日本で死亡率第一位の疾病でした。\n\n3 社会への処方箋、法律\n\n 臨床医は目前の患者さんの病状に合わせて処方箋を交付します。一方、人口集団・社会における疾病の危機に際しては、社会的な対応として法律が大切です。病状が変わると処方箋も変わるように、法律も時代や社会と共に変化します。\n 伝染病予防法は1897年にできました。1919年には結核予防法ができ、1951年に改正されました。1998年、感染症法の成立にともなって、伝染病予防法は廃止、結核予防法も2007年には廃止され、感染症法に一本化されました。\n\n4 現在の感染症法\n\n 流行と感染の危険性が疾病によって異なるため、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では流行の危険性の分類が重要です。「1類:危険性がきわめて高い感染症」「2類:危険性が高い感染症」「3類:危険性は高くない、特定職業への就業で集団発生を起こし得る」「4類:動物、飲食物を介しヒト感染の恐れ、ヒトからヒトへの伝染無し」「5類:国、発生動向調査→情報提供・公開、発生・まん延を防止」。他に「新型インフルエンザ」「指定感染症」「新感染症」の各分類があります。\n\n5 国内での流行防止対策\n\n1)届出\n 流行防止で大切なのは、患者さんの早期発見と社会的な対応、医師の役割は重要です。感染症法1~4類の疾患や新型インフルエンザを診断した場合、医師には「ただちに届け出る義務」があります。5類は「国が感染症の発生動向調査を行い、情報を提供公開し、発生まん延を防止すべき」とされています。\n 学校で予防すべき感染症(学校伝染病)は児童生徒の出席停止の必要性により「第一・二・三種」と三分類されています。\n\n2)隔離(応急入院措置)\n 「他から引き離して接触を避けること」が隔離です。感染症が猛威をふるった19世紀、フランクが「完全なる医学的警察制度」を書いた時代には、隔離は「疾病を取り締まる」警察的発想で行われていました。現代の隔離は1類感染症の患者・疑似症・保菌者および一部の2類感染症患者などに対して「感染症指定医療機関への入院」という措置の形で行われます。\n\n3)疫学調査、消毒\n 患者の届出や流行が報告された場合、状況を解明する疫学調査が必要です。また病原体で汚染された可能性のあるものは、すべて消毒が必要です。\n\n6 検疫\n\n 国内には常在しない病原体が国外から持ち込まれ、流行する疾病が「外来感染症」です。国内侵入を防ぐために、空港や海港など交通の関門で、検疫が行われます。1類感染症の全疾病と他のいくつかの疾病が、検疫法により検疫感染症に指定されています。検疫で患者や保菌者が発見されると入国停止・隔離・停留・消毒の措置が取られます。\n\n7 最近の感染症の動向と結核\n\n 結核が死因の第一位だった戦前を経て、医療や公衆衛生の進歩により、死因における感染症の割合は著しく低下しました。しかし近年新たに問題になってきた「新興感染症」また一度は著しく減少したが、近年再び増加している結核など「再興感染症」にも注意が必要です。\n\n 日本の感染症対策のモデルは結核であり、結核から学ぶことは今でも重要な意味を持っています。結核は結核菌による慢性の感染症、8割が肺結核、飛沫核感染で拡がります。感染後6~8週後にツベルクリン反応が陽転しますが、発病は感染者10人中1~2人にとどまります。\n\n1)結核の健康診断: 「感染症法」により年に1度行われる「定期健康診断」では小中学校全学年で問診が、必要に応じて胸部Ⅹ線検査が行われます。高校大学1年生、施設入所者、事業所従業者、65歳以上の住民では胸部Ⅹ線検査が中心です。また「接触者健診」は発見された結核患者の周囲、感染の可能性の高い人が対象です。\n\n2)結核のワクチン: BCGは「ウシ型結核菌の実験室培養」から作られたワクチンです。「予防接種法」により生後12カ月未満に定期の予防接種として行われます。\n\n3)結核の患者管理: 2類感染症、結核を診断した医師は直ちに届出ます。保健所では届け出られた患者に結核登録票を作成し治療を支援します。抗結核薬の服用ではDOTS「患者が適切な容量の薬を服用する様子を医療従事者が目の前で確認し、治癒するまでの経過を観察する方法」が用いられます。\n\n8 予防接種の考え方\n\n イギリス人ジェンナーが「牛痘による天然痘予防法:種痘」に成功した1796年が予防接種の出発点です。ほぼ50年後、種痘は日本にも伝えられました。\n 予防接種は集団の感染症流行阻止に欠かせませんが、副作用(予防接種禍)もあります。予防接種禍が問題となって1994年に予防接種法が改正され「集団義務接種から接種努力義務へ」と方針転換がなされました。現在のわが国の予防接種の基本は定期に行われる「勧奨接種」です。「受けるように努めなければならない」とされ、集団予防をはかる「A類疾病」と個人の予防を目的とする「B類疾病」とがあります。別に「医療行為として希望者に行われる」任意接種があります。\n\nⅡ 感染症以外の疾患の予防\n\n1 脳血管疾患・高血圧の予防\n\n 感染症予防では、病原体をブロックすることが、生活習慣病予防では、生活習慣Lifestyleの振り返りが、大切です。第二次大戦後、日本の結核死亡が急激に減る一方で、交替して脳血管疾患が増え、1980年代まで死因第一位でした。脳血管疾患は、患者調査で循環器系疾患による入院の半分以上をしめ、寝たきりの主な原因にもなっています。\n 1950から60年代にかけて脳血管疾患の代表だった「脳内出血」の主な要因は「高血圧」でした。他の身体要因として「血管の脆弱性に関わる低コレステロール、蛋白質摂取不足、低アルブミン血症」が、生活要因として「血圧上昇を伴う筋肉労働、夜勤労働、食塩、過度の飲酒、寒冷」などがありました。\n 食塩の過剰摂取が、高血圧を始め多くの疾病の原因になるとの考えに立ち,食塩の摂取を減らす運動が減塩運動です。1979年には減塩の目標値を10 g/dayとして、全国的に運動が展開されました。一方1970年代から脳血管疾患の死亡率は減少しました。減塩運動に加え、冷蔵庫の普及、食生活の欧米化、筋肉労働の減少など、生活要因の変化が影響したと考えられます。\n\n2 がんの予防\n\n 1981年以降日本の死因第一位はがん、その原因の第一位は喫煙、殆どのがんの原因と推定されます。また受動喫煙は肺がんの原因と知られています。もっとも効果的ながん一次予防はタバコを無くすことです。\n 世界がん研究基金と米国がん研究機関による「がん予防に関する10項目の勧告」には①体重管理、②身体活動、③高カロリー食品制限、④植物性食品主体の食事、⑤動物性食品を控える、⑥飲酒を控える、⑦塩分やカビを避ける、⑧サプリメントを取らない、の各項目と、追加して①授乳の有益性、②がん生存者・がん予防に関する推奨に従う、が記されています。\n\n3 メタボリックシンドロームの予防\n\n 1980年代後半から「肥満を伴なう高血圧、糖尿病、脂質異常症」での高死亡率が注目されました。この4疾患が重なるのが「死の四重奏」です。その後WHOがmetabolic syndromeの診断基準を発表し、日本でも独自の診断基準が出され、対策として特定健康診査・特定保健指導が始まりました。特定健康診査ではまず腹囲計測によって内臓脂肪蓄積のリスクが、また「血糖高値/脂質異常/血圧高値/質問票」によって追加リスク数が判定されます。保健指導対象者はリスクによって「①情報提供、②動機づけ支援、③積極的支援」に階層化され、保健指導がなされます。\n\n最後に\n\n さて最後に、学生の皆さんに強く印象付けられている疾病は何でしょうか。私は30代の半ばで出会ったエイズのことが忘れられません。1981年ロサンゼルスでの第一例報告後、原因不明の死の病気として、またたく間に全世界に拡がりました。エイズ現象として注目され、多くの本も書かれました。薬害エイズ事件も起きました。その後も20世紀末から現在に至るまで、私たちは牛海綿状脳症、SARS、新型インフルエンザなど感染症の新たな脅威に直面し続けています。その一方、社会の高齢化に伴なって認知症も急激に増加しています。人から人にうつる危険な疾病、生活からの予防が難しい疾病、社会的な対応が難しい疾病に対し、不安にかられ、偏見や差別が生み出されることもあります。科学的で人間的な予防が求められます。\n\nキーワード\n\n感染症、生活習慣病、リスク要因、予防の原則、感染症の病原体、コッホ、単要因、多要因説:ウインスロー、感染源、感染経路、感受性\n\n結核、死病・労咳・亡国病、細井和喜蔵、女工哀史\n\n伝染病予防法、結核予防法、感染症法、流行の危険性の分類、1類・2類・3類・4類・5類、新型インフルエンザ、指定感染症、新感染症\n\nただちに届け出る義務、発生動向調査、発生まん延防止、学校伝染病、出席停止、第一・二・三種\n隔離(応急入院措置)、フランク、完全なる医学的警察制度、警察的発想、措置、疫学調査、消毒\n\n検疫、外来感染症、検疫感染症、入国停止・隔離・停留・消毒\n\n新興感染症、再興感染症、日本の感染症対策のモデル、肺結核、飛沫核感染、ツベルクリン反応陽転、感染者と発病、結核の健康診断、定期健康診断、胸部Ⅹ線検査、接触者健診、BCG、実験室培養、結核の患者管理、結核登録票、DOTS\n\n予防接種、ジェンナー、種痘、予防接種禍、集団義務接種から接種努力義務へ、勧奨接種\nA類疾病・B類疾病、任意接種\n\n生活習慣病予防、生活習慣Lifestyleの振り返り、脳血管疾患、患者調査、脳内出血、高血圧、身体要因/生活要因、食塩の過剰摂取、減塩運動、10 g/day\n\nがんの予防、受動喫煙、がん一次予防、がん予防に関する10項目の勧告、がん生存者\n\nメタボリックシンドローム、死の四重奏、WHO、特定健康診査・特定保健指導、腹囲計測、追加リスク数、情報提供・動機づけ支援・積極的支援、階層化、保健指導\n\nエイズ、薬害エイズ事件、牛海綿状脳症、SARS、新型インフルエンザ、偏見や差別\n\n(守山正樹)","subitem_description_type":"Other"}]},"item_3_heading_17":{"attribute_name":"見出し","attribute_value_mlt":[{"subitem_heading_banner_headline":"公衆衛生マイクロレクチャー ; PH04"},{"subitem_heading_banner_headline":"Public health micro lectures ; PH04"}]},"item_3_relation_11":{"attribute_name":"関連サイト","attribute_value_mlt":[{"subitem_relation_name":[{"subitem_relation_name_text":"公衆衛生マイクロレクチャー(守山正樹)"}],"subitem_relation_type_id":{"subitem_relation_type_id_text":"https://social-med.blogspot.com/2014/04/ph04.html","subitem_relation_type_select":"URI"}}]},"item_3_rights_10":{"attribute_name":"権利","attribute_value_mlt":[{"subitem_rights":"©2016 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