{"created":"2023-06-19T13:30:42.604657+00:00","id":648,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"76deaefa-531e-4694-9e02-42c522571bf3"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"648","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"648"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000648","sets":["17:41"]},"author_link":["1289"],"item_3_alternative_title_1":{"attribute_name":"タイトルのヨミ","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"ボシ ホケン オヤコ ホケン"}]},"item_3_creator_2":{"attribute_name":"作成者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorAffiliations":[{"affiliationNameIdentifiers":[{"affiliationNameIdentifier":""}],"affiliationNames":[{"affiliationName":""}]}],"creatorNames":[{"creatorName":"MORIYAMA, Masaki","creatorNameLang":"en"},{"creatorName":"守山, 正樹","creatorNameLang":"ja"},{"creatorName":"モリヤマ, 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生まれて間もないこの時期、胎児は既に人間としての権利を持っているでしょうか。民法3条には「私権の享有は出生に始まる」とあります。民法721条には「胎児は損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす」とあります。胎児はすでに法律的に人間としての権利を認められています。また刑法の第29章、堕胎の罪には「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、1年以下の懲役に処する」などあります。胎児の命を奪うことは犯罪です。\n\n「妊娠満0週から妊娠満12週未満」\n この時期、届けを出せば、母体保護法による人工妊娠中絶が認められています。人工妊娠中絶の結果、または他の理由で、死亡した胎児が母体外に排出されても、お産(人工/自然死産)とは認められず、死産届は出されません。妊娠満12週未満は胎児の存在感が特に薄い時期です。\n\n「妊娠満12週以降から妊娠満22週未満」\n この時期は、それ以前に比べ、胎児の存在感が強くなります。この時期も届けを出せば母体保護法による人工妊娠中絶を行えます。しかし中絶の結果、または他の理由で、死児が母体外に出てくる場合は、お産となり、死産届を出す必要があります。\n\n「妊娠満22週以後から出産」\n この時期になると、胎児の生きる権利はとても強くなります。この時期、母体保護法による人工妊娠中絶は原則、禁止です。\n\n 以上3つの時期で、中絶と死産の考え方が大きく異なり、胎児の週数が大きくなるほど、胎児の権利が強くなることに、ご注意ください。\n\n2 母子保健の光と影\n\n1)陰の部分:母体保護法\n\n 母体保護法は、母性の生命と健康の保護を目的としており、その結果行われる不妊手術や人工妊娠中絶は、母性や胎児を制限/否定するもので、母子保健の中では陰の部分と言えます。では妊娠を明るく肯定的に扱い、子供を積極的に育てる発想は、どこが担うのでしょうか。\n\n2)光の部分:母子保健法\n\n 母子保健の中でも明るく積極的な部分、母性と乳幼児の健康保持と増進を定めているのが、母子保健法です。母子保健法が定める施策は、妊娠時の「妊娠の届出」と「母子健康手帳の交付」に始まります。「母子健康手帳」には妊娠期から乳幼児期までの健康情報が記録され、継続性のあるケアを支えます。妊娠中から出産に至る間は「妊産婦の健康診査」「妊産婦の訪問指導」「新生児の訪問指導」が続きます。問題のある児に対しては「出生時体重2500g未満の低体重児の届出」「未熟児の訪問指導」「未熟児養育医療」などが行われます。また健康診査は、先天異常や疾病の早期発見と指導のために「乳児健康診査」が、発達の遅れや心身障害の早期発見と指導のために「1歳6カ月児健康診査」「3歳児健康診査」が行われます。\n\n3)関連する母子保健対策\n\n 健康診査としては、上述のものに加え、生後5~7日の新生児を対象とする「先天性代謝異常等検査」、B型肝炎ウイルスを保有する妊婦から生まれる子供たちへの垂直感染の予防を目的とする「B型肝炎母子感染防止対策」が行われています。また医療援護としては、低体重児の届けや養育医療に加え、「自立支援医療の給付」、児童福祉法による「小児慢性特定疾患の医療費援助」があります。\n\n3 母子保健の統計\n\n 胎児期から幼児期、激動の中を子供は生き延びていきます。この時期の健康を把握する主な健康指標を以下に示します。\n\n・周産期死亡率: 分子は「(人工妊娠中絶ができなくなる)妊娠満22週以降の死産数 + 生後1週未満の早期新生児死亡数」、分母は「出産数(出生数+妊娠満22週以後の死産数)」。出産千対で表します。\n\n・粗出生率: 分子は「ある人口集団のその年の出生数」、分母は「人口」。人口千対で表します。\n\n・合計特殊出生率: 15~49歳の女性につき年齢階級別出生率を合計。女性一人が一生の間に産む「子ども数」の予測値。値2.1~2.2だと将来人口一定。\n\n さらに出生後、乳幼児がどのように生き延びるかを示す健康指標は以下のようなものです。\n\n・早期新生児死亡率: 分子は「生後1週未満の死亡数」\n・新生児死亡率: 分子は「生後4週未満の死亡数」\n・乳児死亡率: 分子は「生後1年未満の死亡数」\n  以上の死亡率、何れも分母は「出生数」。出生千対で表します。\n\n・妊産婦死亡率: 分子は「妊産婦死亡数」、分母は「出産数(出生数+死産数)」。出産10万対で表します。\n\n4 母子保健活動、考え方の変遷\n\n 日本の母子保健は、大正時代(1916年)農村地区の乳児死亡対策のために保健衛生調査会が設置されたことに始まります。昭和の初期、国は富国強兵政策をとり、「産めよ殖やせよ」の観点から母子衛生を重視しました。1937年に保健所法ができたとき、結核予防とともに保健所の重要な事業とされたのが母子衛生です。\n 太平洋戦争後、1948年から児童福祉法が施行され、戦後の混乱の中で、将来の新しい日本を担う子供たちが心身ともに健やかに生まれ育成されることが目指されました。1965年には母子保健法が制定され、母子に関連した健康診査、保健指導、医療援護などの施策が整備されました。\n その一方、戦前からの母子保健の陰の部分は、優生学の思想です。1940年には「国家として悪質な遺伝性疾患を有する者の増加を防ぐ」を目的に、国民優生法が制定されました。それを継承した優生保護法が施行されたのは1948年です。その前後より、優生学に基づくナチス・ドイツの人種政策が、多くの倫理的問題を引き起こした事が知れ渡り、優生学的施策の見直しが世界的に進みました。\n 1990年代になると、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)がカイロでの国際人口・開発会議で1994年に提唱され、女性の人権を尊重する動きが世界中で強まりました。この動きを受けて、日本でも、優生保護法で定められていた優生手術、優生審査会、優生保護相談所などがすべて削除され、1996年、やっと母体保護法が施行されました。\n 1994年には母子保健法が改正され、1997年には母子保健の基本的なサービスが保健所から市町村に移されました。\n\n5 母子保健の課題と対応\n\n1)少子化\n\n 我が国では、人口転換の結果、多産多死、多産少死の時代を経て、現在、少産少死の時代に入っています。著しい少産に伴なう少子化が問題です。少子化の原因としては未婚・晩婚化の進行と出生児数の減少が挙げられます。\n 少子化に対する国の政策の中心は「子育て支援」です。1,990年代から現在まで「エンゼルプラン」「新エンゼルプラン」「子ども・子育て応援プラン」などが取り組まれ、「子ども・子育てビジョン」では社会全体で子育てを支え「希望」がかなえられる社会が目指されています。2012年には「子ども・子育て支援法」ができ子育て中の全ての家庭への支援が目指されています。\n\n2)児童虐待\n\n 私が医学部の学生だった1970年代は、公衆衛生学や小児科学の授業で、児童虐待という言葉を聞くことはありませんでした。その後、児童相談所における児童虐待の相談件数は、1990年の調査開始以降、増加を続けています。児童虐待には、身体的、性的および心理的虐待と養育の放棄・拒否があります。2000年には「児童虐待の防止等に関する法律」が施行され、対策が進みつつあります。\n\n3)健やか親子21\n\n 母子保健に関する国民運動としては、健やか親子21があります。2001年から続いている健やか親子21では、以下の主要な4課題が設定されています。①思春期の保健対策の強化と健康教育の推進、②妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保と不妊への支援、③小児保健医療水準を維持・向上させるための環境整備、④子供の心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減。\n\n さてこれまで母子保健活動は母親と子供をセットで扱い、施策を進めてきました。その一方、特に20世紀は、女性の社会的な地位が男性よりも低いことが多く、富国強兵の時代には、母子保健が、国力を高める道具のように考えられました。また優生学の考え方に基づいて、遺伝性疾患や精神障害を理由に、多くの女性が本人の同意なしに、強制的に不妊手術や人工妊娠中絶を受けさせられた不幸な時代もありました。\n 現在は、女性の社会的な地位が高まり、また男性も育児や子育てにかかわることが当たり前の時代になってきています。母子保健という言葉に変えて親子保健という言葉が使われることも増えてきました。\n 学生の皆さんも、このマイクロレクチャ―を機会に、母子保健や親子保健に関心を持っていただきたいと、願っています。\n\nキーワード\n\n母子保健、健康管理、胎児期、乳幼児期、胎児の立場、人間としての権利、民法3条私権の享有、民法721条胎児の損害賠償請求権、刑法29章堕胎の罪\n\n妊娠満12週未満、母体保護法、人工妊娠中絶、人工/自然死産、死産届、妊娠満12週以降22週未満、娠満22週以後\n\n母体保護法、不妊手術、人工妊娠中絶、母子保健法、妊娠届出、母子健康手帳交付、妊産婦の健康診査、妊産婦の訪問指導、新生児の訪問指導、2500g未満の低体重児届出、未熟児訪問指導、未熟児養育医療、乳児健康診査、1歳6カ月児健康診査、3歳児健康診査\n\n母子保健対策、先天性代謝異常等検査、B型肝炎母子感染防止対策、医療援護、養育医療、自立支援医療の給付、児童福祉法・小児慢性特定疾患の医療費援助\n\n母子保健統計、健康指標、周産期死亡率、妊娠満22週以降の死産数、生後1週未満の早期新生児死亡数、出生数、出産千対、粗出生率、出生数、人口、人口千対、合計特殊出生率、年齢階級別出生率合計、子ども数予測値、将来人口一定、早期新生児死亡率、新生児死亡率、乳児死亡率、妊産婦死亡率、妊産婦死亡数、出産数、出産10万対\n\n母子保健活動、保健衛生調査会、富国強兵政策、母子衛生、保健所法、結核予防、母子衛生\n太平洋戦争後、児童福祉法、母子保健法(健康診査・保健指導・医療援護)、施策、優生学の思想、国民優生法、優生保護法、ナチス・ドイツ人種政策、倫理的問題、優生学的施策見直し、\nリプロダクティブ・ヘルス/ライツ、カイロ国際人口・開発会議、女性人権尊重、優生手術・優生審査会・優生保護相談所など削除、母体保護法、母子保健サービス保健所から市町村\n\n母子保健の課題、少子化、人口転換、多産多死・多産少死・少産少死、未婚・晩婚化進行、出生児数減少、子育て支援、エンゼルプラン/新エンゼルプラン/子ども・子育て応援プラン、子ども・子育てビジョン、子ども・子育て支援法\n\n児童虐待、児童虐待の防止等に関する法律、健やか親子21、国民運動、健やか親子21主要4課題、親子保健\n\n(守山正樹)","subitem_description_type":"Other"}]},"item_3_heading_17":{"attribute_name":"見出し","attribute_value_mlt":[{"subitem_heading_banner_headline":"公衆衛生マイクロレクチャー 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