{"created":"2023-06-19T13:30:42.290444+00:00","id":642,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"ab4a3640-4246-4c43-8c9d-d70d0645e864"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"642","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"642"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000642","sets":["17:41"]},"author_link":["1289"],"item_3_alternative_title_1":{"attribute_name":"タイトルのヨミ","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"エキガク ノ キホン 2 : インガ カンケイ キケンド"}]},"item_3_creator_2":{"attribute_name":"作成者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorAffiliations":[{"affiliationNameIdentifiers":[{"affiliationNameIdentifier":""}],"affiliationNames":[{"affiliationName":""}]}],"creatorNames":[{"creatorName":"MORIYAMA, Masaki","creatorNameLang":"en"},{"creatorName":"守山, 正樹","creatorNameLang":"ja"},{"creatorName":"モリヤマ, 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過去10年間のサンフランシスコのすべての火事のデータから、個々の火事(A)における消防車数(B)と損害額(C)の統計的関連性を調べた人がいます。この場合「消防車数(B)と損害額(C)の間」には顕著な統計的関連性が見られました。ではこの統計的関連性は、因果関係でしょうか。「消防車数が多いことが原因になって、結果として損害額が増えた」と言えるでしょうか。よく考えるとこれは変な話です。よって「統計的な関連性」があったとしても、それがすぐに「因果関係」とは言えないことが分かります。\n\n 因果関係があるためには“一方が変化すれば、もう一方も変化する”が必要です。この定義に従うと、統計的に関連しているもののうち、ごく少数にしか因果関係は成立しません。この定義に合わない多数の統計的関連は、二次的関連と呼ばれます。\n\n 因果関係のない統計的関連は、通常、2つの事象の間の関連が、第3の事象に関連しているために生じます。例えば事象Aは、事象BおよびCの両方に因果関係があるとすると、BとCの間には統計的な関連が生まれます。しかしBを変えることによってC、Cを変えることによってBが変わるわけではなく、BとCとの関連は因果関係ではありません。\n\n3)記号的表現と交絡因子(交絡変数)\n\n 因果関係、原因と結果の関係は、両者を矢印でむすび「A→B」のように、記号的に表現することが可能です。\n  「原因→結果」\n  「独立変数→従属変数」\n  「調査対象とする曝露要因→調査対象とする疾病」\n しかし、上記の矢印による表現は、実際の疫学調査においては、やや単純過ぎます。たとえば「喫煙→肺がん」「高塩分摂取→高血圧」など書いてしまうと、実際の複雑さが反映されません。現実には、原因と結果の双方に影響を与える因子・変数が存在する場合がほとんどです。より現実に近い関連性は、たとえば以下のように表現されます。\n\n       年齢                       年齢\n 喫煙 ➚ ➔   ➘ 肺がん    高塩分摂取 ➚ ➔  ➘ 高血圧\n\n ここに示した年齢のように、従属変数と独立変数の両方に(肯定的または否定的に)相関する外部因子・変数を、交絡因子(または交絡変数)と呼びます。交絡因子が存在すると、真の因果関係が明らかでなくなるため、交絡因子を調整する、すなわちその好まざる影響を可能な限り除去することが大切です。たとえば疫学調査でデータを集める際に、対象者を特定の年齢幅の人々に限定したり、データを分析する際に、年齢の影響を統計計算の過程で調整することが、行われます。\n\n2 因果関係の判定基準\n\n さて、いったん統計的に関連があることが分かった後、それが因果関係、原因-結果の関係であるかどうかは、どうしたら決められるでしょうか。統計的な関係が強固であれば、因果関係の可能性は高くなりますが、それだけでは足りません。1964年、米国公衆衛生局長諮問委員会の報告書(Smoking and Health、第3章 20頁) が示した以下5つの判定基準がよく知られています。\n\n ①関連の強固性 strength: 関連性が強ければ強いほど、“Aが無いときのBの出現率”に比べて“AがあったときのBの出現率”が高ければ高いほど、その関連が因果関係である可能性が高くなります。\n ②関連の一致性 consistency: 異なる“集団・地域・国・時代”でも同様の関連性が認められるか/関連性が一致するか。\n ③関連の時間性 temporality: 原因→結果の順になっているか。原因と考えられる事象は、結果と考えられる事象よりも先に起こらなければなりません。\n ④関連の特異性 specificity: 「原因のある所に結果がある:結果のある所に原因がある」が、常に成立する必要があります。\n ⑤関連の整合性 coherence: これまでに確立されている知識や理論と整合すること、矛盾しないこと。\n\n 因果関係の判定基準はこの他にも多くのものが知られており、教科書によっても表現が異なります。Bradford Hillによる1965年の判定基準“The Environment and Disease: Association or Causation?”には、上記5項目に加え、以下が含まれています。\n  ・Biological gradient:用量-反応関係を意味します。\n  ・Plausibility:説得性、整合性と似た考え方です。\n  ・Experiment:実験的に根拠を示す。\n  ・Analogy:類似の要因を考慮できること。\n\n\n3 因果関係の数値表現\n\n1)4分表の考え方\n\n さて、上記の5基準が当てはまる統計的関連性は「因果関係である可能性がとても高い」「因果関係らしい」と判断されます。このようなとき、さらに一歩進んで、その関係が因果関係であることを数値で検討するのが、4分表の考え方です。以下、Marvin Sasserの本に従って説明します。\n 表のマス目は「ある仮説的原因:要因への曝露(独立変数)」と「ある仮説的結果:疾病への罹患(従属変数)」とが一方のみ、あるいは双方ともに生じる場合の、集団における頻度を表します。各マス目のa,b,c,dは人数をあらわします。\n 疫学の主要な研究方法、コホート研究、症例対照研究、介入研究のそれぞれで行われる基本的な比較は、全てこの4分表で表せます。\n\n さて上記の表では「仮説的原因・要因曝露」を行に、「仮説的結果・疾病罹患」を列に示します。上記の3研究は表の記入順序が異なります。\n\n2)コホート研究の場合\n\nコホート研究の出発点は、喫煙有り、喫煙無しなど、仮説的原因・要因曝露による2群の設定です。たとえば、20歳代の健康な若者について、喫煙有り群千名、喫煙無し群千名を設定します。表のa+b、c+dの欄には、数値1000を書き込みます。研究の開始時点では、まだ誰も肺がんにかかっておらず、aとcに書き込める数値はありません。さて、ここから始め20年間追跡した結果、喫煙群からは20名、非喫煙群からは2名の肺がん患者が発生しました。肺がんの罹患率を計算すると、喫煙群では20/1000、非喫煙群では2/1000となりました。相対危険度は、両群の罹患率の比、10となります。寄与危険度は、両群の罹患率の差、18/1000となります。\n\n3)症例対照研究の場合\n\n 症例対照研究は、症例(患者)群と対照(患者ではない人:健康者など)群を比較する研究です。たとえば肺がんの原因を調べるのであれば、肺がんの各症例に対し、対照者を選びます。こうして調査開始時に症例群100名、対照群100名を設定しました。a+c、b+dの欄に100を書きます。コホート研究では10年20年と追跡しないと、表に数値を書き込めませんでしたが、症例対照研究では時間の経過を待つ必要はなく、すでに生じている過去の出来事(以前、喫煙していたか否か)を調査で思い出してもらえれば、すぐに数値が得られます。症例(患者)100人中、喫煙者は80人、非喫煙者は20人でした。\n (注)ここでオッズを説明します。オッズとは「ある事象が起こる確率と起こらない確率の比」です。上記の例だと、喫煙という事象が起こる確率は80/100、起こらない確率は20/100、よって確率の比は(80/100)/(20/100)、すなわち80を20で割り算して、オッズは4です。\n さて先ほどの話の続きですが、対照者では100人中、喫煙者は30人、非喫煙者は70人でした。オッズは30/70で0.429となります。これで症例群と対照群のそれぞれについて、オッズが計算できました。この二つのオッズの比がオッズ比です。(80/20)/(30/70)で9.33となります。症例対照研究の場合は、コホート研究と異なり、罹患率を求められないため、厳密にいえば、相対危険度も寄与危険度も計算できません。では、上記で計算されたオッズ比とは何でしょうか。症例対照研究の場合のオッズ比は、相対危険度の近似値とされます。\n\n4)介入研究の場合\n\n 介入研究は“人為的実験的に要因曝露を行うコホート研究”です。4分表の用い方は、先ほどお話したコホート研究とよく似ていますので、計算方法は省略します。異なる点は、要因への曝露を研究者が行う点です。\n\n さて今日は因果関係を中心にお話しました。次回は疫学の最後として、主な研究方法の考え方をまとめます。\n\nキーワード\n  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