@misc{oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000635, author = {MORIYAMA, Masaki and 守山, 正樹}, month = {Mar}, note = {video/mp4, application/pdf, 皆さん、こんにちわ。今日はスクリーニング検査についてお話します。 スクリーニング検査とは スクリーニング検査(ふるい分け検査)とは、ある集団を対象として、特定の疾病が疑われる人を集団中から選別する(ふるい分ける)ための検査です。 カットオフポイントとは 検査結果の多くは「抗体+ 抗体-」「陽性/陰性」など二値的な値ではなく、連続量のことが多いため、どこかのポイントで線引きして、スクリーニングする(ふるい分ける)必要が出てきます。 このポイントをカットオフポイントといい、カットオフポイントより検査値が高いと検査陽性、カットオフポイントより検査値が低いと検査陰性などと判断します。 カットオフポイントと四つの状態 集団中の「疾病あり」の人と「疾病なし」の人の検査値の分布が大きく異なる場合は、カットオフポイントを決めるのは簡単だし、検査陽性と検査陰性はほぼ「疾病あり」と「疾病なし」に対応します。 しかし現実的には、「疾病あり」と「疾病なし」の分布はある程度重なる場合が多く、カットオフポイントを決めるためには、注意深い検討が必要です。 どこにカットオフポイントを決めても、「疾病あり:真陽性 true positive (TP)」、「疾病なし: 真陰性 true negatrive (TN)」と検査で正しく区別できるのは集団の一部に対してだけで、「検査陰性なのに疾病あり:偽陰性 false negative (FN)」「検査陽性なのに疾病なし:偽陽性 false positive (FP)」などの状況が生まれます。 四分表による整理 1)まず四分表を作る 以上より、スクリーニング検査を行うと4つの状態が生まれることがわかりました。 4つの状態を整理するために、おなじみの4分表を用います。症例対照研究やコホート研究でも4分表が出てきました。スクリーニング検査の4分表は「スクリーニング検査の陽性/陰性」と「疾病の有/無」とを組み合わせた(クロスした)ものになります。        疾病あり     疾病なし 検査陽性   a(真陽性TP) b(偽陽性FP) 検査陰性 c(偽陰性FN) d(真陰性TN) 2) a,b,c,dに直接関連した値の計算 では、この4分表から何を読み取り、計算したらよいでしょうか。症例対照研究やコホート研究では、要因暴露の危険(リスク)を知ることが大切であり、オッズ比(症例対照研究の場合)や相対危険度(コホート研究の場合)を計算しました。 一方、スクリーニング検査で大切なのは、先ほどの表においてa、b、c、dと4つの状態が現れること自体が、重要です。各値が占める割合から、検査の正確性を評価することができ、以下の指標が用いられます。 a(真陽性)に関連の指標   感度(敏感度)=a/(a+c) 疾病がある者のうち検査で陽性と診断できたものの割合。 d(真陰性)に関連の指標   特異度 = d/(b+d) 疾病がない者のうち検査で陰性と診断できた者の割合。 c(偽陰性)に関連の指標   偽陰性率 = c/(a+c) 疾病がある者のうち、検査で陰性と診断された者の割合。 b(偽陽性)に関連の指標   偽陽性率 = b/(b+d) 疾病がない者のうち検査で陽性と診断できた者の割合。 3)その他、関連の指標 以上に加え、以下の指標も用いられます。 陽性反応適中度(検査後確率) = a/(a+b)     検査結果が陽性の者のうち実際に疾病を有していた人の者の割合。 陰性反応適中度 = d/(c+d)     検査結果が陰性の者のうち、実際に疾病を有していなかった者の割合 正確度 = (a+d)/(a+b+c+d) 測定値が真の値(疾病の有無)をどの程度正確に表しているかの割合。 有病率 = (a+c)/(a+b+c+d) 上記の各指標間には、以下のような関係もあります。 偽陰性率 = 1-敏感度 偽陽性率 = 1-特異度 ROC曲線でカットオフポイントを決める さて、最適なカットオフポイントはどのようにして決めたらいいでしょうか。真陽性を増やす一方で、偽陽性は減らす必要があります。敏感度も特異度も高い(1に近い)方がよいでしょう。しかし双方を同時によくすることは困難です。片方を高くするともう片方は低くなる、トレードオフの関係が存在します。こうした問題を解決し、最適なカットオフポイントを決めるために用いられるのが、ROC曲線(受診者動作特性曲線)の考え方です。 ROC曲線(Receiver Operating Ccharacteristic curve)は、第二次世界大戦中に戦場において敵の信号を発見するために電子技術者とレーダー技術者によって開発されました。1941年に日本軍が真珠湾を攻撃した後、日本の戦闘機が発するレーダー上の信号を検出する精度を上げる必要性が研究を後押ししたとされます。その後、1950年代にはROC曲線は精神物理学の分野で人間が発する微弱な信号を検出するために用いられ、また医学や疫学で検査の評価に用いられるようになり、現在に至っています。 ROC曲線を描く場合、グラフの横軸は“1-特異度”または“偽陽性率”、グラフの縦軸には“感度(敏感度)”をとります。 感度が1.0、特異度が1.0という理想的な検査結果の座標点は(0、1)、完璧なふるい分け(Perfect classification)を示します。一方、まったくふるい分けが機能せず、検査がただの偶然の結果(Random guess)を示す場合は、座標(0,0)から座標(1,1)に向かう点線(対角線)に相当します。 実際のROC曲線は完璧(座標0,1)と偶然(対角線)の間に存在し、異なるカットオフポイントはこのROC曲線上のどこかに位置します。 検査法を変えると別なROC曲線が描けます。曲線を比較することで、異なる検査法の性能を比較できます。左上に曲線が位置する検査の方が、感度も特異度も優れていると判断します。 図のように検査がAからCまで3種類あったとすると、最も左上にくる検査が優れていることになります。 (守山正樹)}, title = {スクリーニング検査}, year = {2018}, yomi = {モリヤマ, マサキ} }