{"created":"2023-06-19T13:30:41.605804+00:00","id":629,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"f98a34d1-e403-4225-bf1d-41353a51cea8"},"_deposit":{"created_by":14,"id":"629","owners":[14],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"629"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:jrckicn.repo.nii.ac.jp:00000629","sets":["17:40"]},"author_link":["1289"],"item_3_alternative_title_1":{"attribute_name":"タイトルのヨミ","attribute_value_mlt":[{"subitem_alternative_title":"キジュツ ケンキュウ : ミナマタビョウ スモンビョウ HIV エイズ"}]},"item_3_creator_2":{"attribute_name":"作成者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorAffiliations":[{"affiliationNameIdentifiers":[{"affiliationNameIdentifier":"","affiliationNameIdentifierScheme":"ISNI","affiliationNameIdentifierURI":"http://www.isni.org/isni/"}],"affiliationNames":[{"affiliationName":"","affiliationNameLang":"ja"}]}],"creatorNames":[{"creatorName":"MORIYAMA, Masaki","creatorNameLang":"en"},{"creatorName":"守山, 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疫学研究法とは\n今回は疫学研究の第一回目、まず研究の分類、そして観察研究へと進んでいきます。\n\n1)疫学研究の分類\n疫学研究は観察研究と介入研究に大別されます。\n観察研究は疾病を深く知り、因果関係の可能性を考え、原因を追求する研究です。\n一方、介入研究は、既にある程度解明された因果関係を利用して、人為的に要因に介入し、介入の効果を評価する(予想される結果の出かたを確かめる)研究です。\n\n2)観察研究の概要\n今回からお話しするのは観察研究です。\n観察研究は、未知の症例を記述し報告する記述研究、因果関係の可能性を考え仮説を立て、曝露や有病の実態を観察し分析する生態学的研究や横断研究、そして仮説を検証するコホート研究や症例対照研究に分かれます。\n\n2 未知の疾病との出会いから始まる記述研究\n以下では、観察研究の中でも特に記述研究についてお話しします。\n記述研究は、見慣れない疾病、症例について記述し報告する研究です。\n見慣れない疾病に人が出会ったときの様子を理解することは、疫学研究の出発点として大切です。以下3つの疾患を取り上げます。\n\n水俣病の記述\nまず水俣病について。原田正純先生の著書「水俣病は終わっていない」の1節を紹介します。\n「チッソの工場排水による環境汚染は、古くは大正年間から戦前まで漁業被害として記録に残っている。そして1949・1950年頃になると排水口を中心に水俣湾周辺に魚が浮上したり、カキが死滅したり、海藻が枯れたりする異変がみられるようになり、その異変は次第に水俣湾から不知火海一帯へと拡がっていった。1953年(昭和28年)になると先の壺谷一帯から出月、湯堂にかけてネコが狂死し、海鳥やカラスが空から落ちて海に突っ込んだりするようになった。1955年になると水俣湾に面した漁村のネコは死滅してしまい、ニワトリ、犬、ブタ、イタチまでも狂死するようになった。・・・特にネコの狂い死は劇的であった。涎を垂らし、よろよろと歩いているかと思うと突然、激しく回転をし、けいれんをおこし、あるいは一直線に走り出し海の中にとび込んだり、かまどにとび込んで火だるまになったりした。」\n\nスモン病の記述\n次はスモン病について。重松逸造先生の本「疫学とは何か」の1節を紹介します。\n「敗戦後10年を過ぎ、本格的な経済復興のきざしがみえ始めた1955年頃から、日本各地に今までに知られない症状の病気が発生した。最初に腹痛や下痢などはげしい腹部症状がつづき、そのあと、まず足の裏や指先にしびれがくる。しびれは次第に足、腰、腹へとあがってきて、キリキリした痛みを伴い、やがてはマヒを起こして歩行不能になってしまう。重症では視神経がおかされ、視力減退からついには失明にいたる。しかも奇妙なことにこの病気はある地域に集中して発生する傾向があった。釧路、山形、米沢、大牟田、津、徳島、岡谷など、比較的早い時期にこの病気にぶつかった現地の医師たちは、懸命にその原因、治療法をさぐったが、それまでに報告されたいかなる病気とも症状が違い、有効な治療をほどこすことができなかった。このため\"釧路病\"など、発生地域の名で仮に呼ばれるようになったこの病気は、原因不明で、かついままでに知られている病気ではないことから、\"奇病\"として人々に恐れられた。」\n\nエイズの記述\n次はエイズについて。新聞記者ランディ・シルツ氏の著書「そしてエイズは蔓延した」の1節を紹介します。\n「1980年12月9日、ロサンゼルス、『われわれは自分自身に何をしでかしているのだろうか?』ジョエル・ワイズマン博士は30歳になる神経質そうな広告部長を診察しながら、そう自問せざるをなかった。たしかに、その男は病気だった。痛みをともなう湿疹が出て、下痢が止まらず、熱がいつまでも引かなかった。しかも、その状態が6週間も続き、かかりつけの内科医からワイスマン博士のところにまわされてきたのだった。検査を受けるように指示したあと、ワイスマンは患者のカルテに仮りの診断を書きこんだ。『患者の障害は免疫不全から生じたものらしい』 不可解な病気で医師の門をたたく者はかならずしも珍しくないが、それにしてもこれは唯一の例ではなかったのである。10月に、別のゲイの青年がワイスマンの同僚のところに来ており、その患者もこれと類似した免疫系の障害を起こしていた。その症状は驚くほど多様だった。白いカビが患者の爪の周囲に生え、綿のようなカンジダ菌が口の中一面に取りついて、今度の患者と同様に発疹があり、長期間の発熱やリンパ節の腫れや白血球の減少が見られた。その患者が入院によって一時は皮膚の症状が軽くなったが、12月の初めには寝汗がベッドのシーツを濡らすほどひどくなり、発疹がまた出はじめた。ワイスマンの同僚は最初、この患者の血液が細菌感染とウィルス感染を同時に起こしたのだと思ったが、12月にはやはり「免疫不全」と診断した。・・・・後日の調査によれば、アメリカでは1980年末までに、55人の青年がこの新種のウィルスに結びつく何らかの感染症と診断されていた。そのほかに、10人がヨーロッパで同様の診断を下され、それよりはるかに多くの人々がアフリカの未開の地で無数の病人にまじってこのウィルスに苦しめられていた。ゆっくりと、ほとんどの人に気づかれることなく殺し屋は目を覚ましはじめていたのである。」\n\nさて以上、三つの疾病は最初の報告から何十年間かが経ちました。今は冷静に当時を振り返り、因果関係を議論できます。しかし疾病発生当時、疾病に関わっていた人々に余裕はなく、全力で疾病に立ち向かいました。その際の疾病の記録は、その後の病因解明に大きな役割を果たしました。\n\n3 未知の疾病に病名をつける\nさて記述疫学で大切なのは、姿を現しつつある未知の疾病の全体像を捉えること、病名の確定も研究の出発点として重要です。\n\n水俣病の命名\n原田先生の著書を引用します。\n「水俣市月の浦の壺谷に住む船大工、田中義光さんの5歳11ヶ月の娘が、箸が使えなくなり、歩行がふらつき、言葉が不明瞭になったのは、1956年3月末のことであった。病状は次第に悪化し、狂躁状態となりついには寝たきりになってしまった。4月21日、チッソ附属病院に連れていかれたのだが、その2日後に2歳11ヶ月の妹が、全く同じ病状で発病した。隣の江郷下家でも5歳の娘、8歳と11歳の男の子、その母親に同じ症状がみられることがわかるに至って、この患者たちを診察した附属病院の細川一院長は、今まで見たことのない新しい病気に驚いて、5月1日に水俣保健所に「原因不明の中枢神経疾患が発生している」と届け出たのであった。5月28日、水俣保健所、チッソ附属病院、水俣市医師会、水俣市立病院、水俣市役所の五者による『水俣奇病対策委員会』が発足し、世界で初めての奇病に対する対策が協議された。初期対策として伝染病の可能性も考え、患者の隔離、環境消毒などを行う一方で、カルテ調査、聞き込み調査による患者の確認を急いだ。その結果、30名の患者が確認され、第一号はすでに1954年に発生していたことが明らかになった。」\n\nスモン病の命名\n重松先生の著書の引用。\n「この奇病は、1958年に初めてその一例が学会に報告されたが、1960年頃からかなりくわしい研究報告が出されるようになり、地域的な病気から全国的な関心の対象となった。しかし、それが本格的に取り上げられるようになるのは、1964年に開かれた東京オリンピックの直前、オリンピック・ボートレース場になる埼玉県戸田周辺で46人の患者が集中発生し「戸田の奇病」として急に脚光を浴びるようになってからである。たまたま、同じ年に、日本内科学会はこの病気をはじめて総合シンポジウムとして取り上げ、病気発生当初からこの病気に取り組んでいた東大の椿忠雄博士のグループによって、亜急性脊髄視神経症(Sub-acute Myelo-Optico-Neuropathy )という病名が提唱された。そしてこの病名の4つの頭文字SMONをとった「スモン」という名前が呼びやすいため、その後普及することになった。」\n\nエイズの命名\nランディ・シルツ氏の著書の引用。「1982年7月27日、ワシントンD.C.\nマイケル・ゴットリーブとアルヴィン・フリードマン=キーンが肺炎と皮膚癌の症例報告してから、1年以上が経過していたが、この疫病にはまだ公認された名前がなかった。さまざまな学者がアルファベットを組み合わせたいろいろな略語を使っていたが、それらはただでさえ人を惑わせる起源の不明な新しい奇病をめぐる話をますます混乱させていた。CDCの所員たちはGRIDという用語を嫌い、それを使わなかった。血友病者の症例が発生したときにジム・カランが主張したのは、「ゲイ」や「コミュニティ」を示すようなものは使用すべきでなく、もっと中立的なものを採用すべきだということだった。それに、ACIDSはいささかグロテスクだとカランは思った。ついに、誰かがぴったりの名前を提案した。後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome)。それならば略語もスマートに「エイズ(AIDS)」となり、性的に中立でもある。「後天性」によって、この免疫症候群を先天的な欠陥や化学療法による免疫障害から区別できるし、この症候群がどこからか(たとえ、それがどこだかわからなくても)獲得されたことも示せる。」\n\n\n4 その後の原因解明と展開\n病名が確定し、診断基準が明確になると、疾病の原因解明も進み、また同様の疾病が世界の様々な所に実は存在することも分かります。\n\n水俣病の原因と展開\n後日、水俣病は工場排水に含まれたメチル(有機)水銀が海や川の魚介類を汚染し,それを食べたヒトに発症したメチル水銀中毒であると断定されました。有機水銀の中毒は水俣に留まらないことも明らかになってきました。\n「有機水銀中毒の最初の報告はイギリスであった。有機水銀を工業化し商業ベースに乗せた最初の国はイギリスであったから、いわば当然である。・・・そして、水俣病をはじめ中毒の重篤さを認識した先進工業国でこれらの生産及び販売、使用が禁止されてくると、中毒事件は発展途上国へと流れていく。」\n\nスモン病の原因と展開\n結局、スモン病は整腸剤キノホルム(5-クロロ-7-ヨード-8-キノリノール)による薬害と判明しました。スモンは、キノホルムの服用後に、激しい腹痛が起こり、2~3週間後に下肢の痺れ、脱力、歩行困難などの症状が現れます。舌に緑色毛状苔が生え、便が緑色になり、緑色物質はキノホルムと鉄の化合物だと分かりました。日本では1970年にキノホルムの製造販売と使用が停止され、以後新たな患者の発生はありません。\n\nエイズの原因と展開\nヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって発症する疾患がエイズです。日本では1985年、初めてAIDS患者が確認され、1989年には「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」が施行されました。当初はわが国のエイズの大半は凝固因子製剤による感染症例(薬害エイズ事件)でした。\n現在、全世界でのヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性者数は3000万人を超え、新規HIV感染者数は年間200万人に達するといわれています。\n\n\n5 疾病分類と疫学\n未知なる病気に病名がつくと、疾病統計を取るのが可能になり、疫学研究は次の段階に進みます。その際、大切なのは疾病分類、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」、英語ではInternational Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems、ICDと略記されます。異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータを体系的に記録し、分析・解釈・比較を行うために、世界保健機関(WHO)が作成した分類です。最新の 1990 年版は ICD の第 10 回目修正版に当たり、ICD-10 と呼ばれます。\n\nさて今日は、疫学の観察研究の中でも記述研究に焦点を当てました。次回は生態学的研究や横断研究をお話しします。\n\n(守山正樹)","subitem_description_type":"Other"}]},"item_3_heading_17":{"attribute_name":"見出し","attribute_value_mlt":[{"subitem_heading_banner_headline":"疫学マイクロレクチャー ; epd06","subitem_heading_language":"ja"},{"subitem_heading_banner_headline":"Epidemiology micro lectures ; epd06","subitem_heading_language":"en"}]},"item_3_relation_11":{"attribute_name":"関連サイト","attribute_value_mlt":[{"subitem_relation_name":[{"subitem_relation_name_text":"疫学マイクロレクチャー(守山正樹)"}],"subitem_relation_type_id":{"subitem_relation_type_id_text":"https://epidemiology-a.blogspot.com/2016/10/descriptive.html","subitem_relation_type_select":"URI"}}]},"item_3_rights_10":{"attribute_name":"権利","attribute_value_mlt":[{"subitem_rights":"©2016 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